2014年の夏に訪れた山梨県・富士吉田。東京旅から高速バスでそのまま向かいました。
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富士吉田はバンド・フジファブリックのボーカル志村正彦さんの故郷です。当初の目的は、志村さんゆかりの地をめぐることでしたが、それ以上に富士吉田の魅力にたくさん出会う旅でした。
雄大な富士山に見守られたこの街はとても空気が澄んでいて、ノスタルジックな街並みは歩いているだけで楽しくて、そして出会う人みなさん温かくて…志村さん、こんな素敵な場所で生まれ育ったなんて羨ましいなあと何度も思いました。大好きな街です。
富士吉田のお気に入りの場所
吉田うどんの店「たくみ」
古本屋「不二御堂」、(子猫の中村くん)
「忠霊塔」と丘から見る富士山。フジファブリック「浮雲」にでてくる「いつもの丘」です。
ほかにも「喫茶M2」「カフェ月光」「浅間神社」「月江寺の池」名もない路地裏…などお気に入りの場所がたくさんあります。
そして、忘れられない思い出が詰まった喫茶店が「喫茶富士」です。
喫茶富士へ行くまでの話
お昼前に一度伺ったら、まだ開いていなかったので「喫茶富士」のすぐ近くにある「月江寺の池」のベンチで一休みしました。
お腹がすいてきたので、先に名物吉田うどんを食べに「たくみうどん」に向かいました。
お隣にいた常連のおじいちゃんが富士吉田の歴史に詳しい方で、「喫茶富士」のことを聞くと「ママ一人で切り盛りするようになってから午後からの開店になったよ」と教えてくださいました。
その後も「たくみうどん」で信じられないような運命的な出会いがあったのですが、その話はまたいつか。
あっという間に夕方になっていて、「喫茶富士」へと向かいました。
「喫茶富士」富士山に魅せられた写真家の喫茶店
「営業中」の札にほっとして扉を開けると、小柄なママが優しく迎えてくれました。
ピカピカに磨かれた椅子、身長順に並べられたこけしたち…
「喫茶富士」は1965年創業。昔はお店の配置を3年に一度のペースで変えていたそうです。
壁には、写真家だった今は亡きマスターが撮られた富士山の美しい写真が飾られています。
富士山の美しさに魅せられて、東京の大森から富士吉田に移住し、35年にわたり富士山を撮り続けた飯島志津夫さん。昔開かれた個展の写真には岡本太郎さんの姿も。
お見合い橋
店内には小さな池があり、石橋がかかっています。
池の魚に餌をあげるママ。
実は昔、「喫茶富士」ではお見合いがよく行われていたそうで、この橋を渡って奥にある席に進むと二人は結ばれるという不思議なジンクスがあったことから「お見合い橋」と言われるように。
富士吉田に流れる夕方のチャイム
ママと喫茶店のことや、志村さんの話、私の将来のことなどたくさんの話をしていると、外から防災無線のチャイムが聞こえてきました。ずっとこの耳で聞きたかった、フジファブリックの『若者のすべて』に登場する「夕方5時のチャイム」です。
歌詞では5時に鳴るけれど、その時は6時を知らせるチャイムでした。
ママと一緒に店を出て、二人で「遠き山に日は落ちて」を静かに聞いていたら、志村さんの訃報を知った時のことや、私の個人的な思い出が一気に思い出されてじーんと来てしまい、思わず涙が。
帰り際には「遠いけどまたいらっしゃいね。お互い頑張ろうね。」とぎゅっと握手をしていただき、月江寺駅へと向かいました。
後日、撮った写真とともに手紙を送ったらお返事がきて、その優しい言葉にまた泣きそうになりました。
喫茶 富士 店舗情報
【住所】山梨県富士吉田市下吉田850【最寄り】月江寺駅
【定休日】日曜